ここは金曜日のコリドー街。数々の欲望が渦巻く魅惑の地である。僕は友人との飲み会終わりに、ふと立ち寄ってみたのであった―。
出会い
有楽町駅に向かって歩いていると、1人の美女がいた。
僕「こんばんはー。飲み会帰りですか?もう帰るんですか?」
美女「あ、ご飯食べ終わって、これから帰ろうと思ってました!」
めちゃめちゃテンションが高い。多分すでに酔っ払っている。
僕「テンション高いっすね!飲み会だったんですか?」
美女「そうですー。お兄さんは?」
僕「自分も飲み会で。お姉さんいくつなんですか?」
美女「xx歳です!」
僕「マジすか!自分も一緒です!」
美女「えーー!!同級生?」
僕「同級生!なんか親近感湧くね!これから一杯飲もうよ!」
美女「いいよ!」
ということで、コリドー街沿いの店に入り、カウンターの席に座る。
仕事を聞くと、客室乗務員さんをやっているそう。そこまで出会いが多くないという。「機内で連絡先とか渡されないの?」と聞くと、「たまにあるけど、連絡しない」とのこと。
僕も、自分の仕事の事を話す。そして、お互いの趣味や、休日の過ごし方、過去の恋人のことを話した。
二人ともすでに酔っ払っていたこともあってか、だんだんと距離が近くなり、肩や腕が触れ合う。ドキドキする。
そして、店も閉店の時間になったため、外に出る。もうこの頃には、お互いに結構ベロベロな状態になっていたと思う。
「自宅で飲まない?」と彼女に提案する。
「・・・うん。いく。」と答えてくれる。そして、タクシーに乗り、自宅へと帰った。そして、一夜を共にした―。
出会いの後の彼女との付き合い
後になって話を聞いてみると、あの日はコリドー街のレストランで、誘われた男性と一緒に食事に行き、お酒を少し飲んでいたらしい。他にも声をかけられたが、やはり同級生ということで親近感が湧き、僕に付いてきてくれたとのこと。食事に行った男性とは、中々話が合わず、何度か誘いがあったが断ったらしい。
僕は、その後も彼女と何度も飲みに行った。お互いの価値観や家族のことも話をした。
たくさんデートも重ねた。温かい日差しの元で、彼女の家の近くの公園を散歩したり、昼から横丁で飲みながら、彼女の地元で有名なものを食べ歩いたりもした。彼女の部屋に招いてもらい、秋晴れの心地よい風を感じながら眠りについたのが、懐かしく思う。
彼女に惹かれていたし、素晴らしい時間を過ごしていた。彼女は仕事柄もあってか、すごく気遣いができて、笑顔の素敵な人懐っこい女性だった。
しかし、どこかでズレが生じていたように思う。僕もちょうど仕事が忙しい時期が続き、いつしか連絡も疎遠になってしまっていた。彼女も不規則で大変な仕事をしている中、僕を何度もデートに誘ってくれたが、思いに応えることができなかった。
自分の中の何がズレを生じさせ、何がいけなかったのか。自分を見つめ直すとともに、求めているものが何であるのか、深く考えさせるきっかけを作ってくれた出会いであった―。